こちらの肥前狛犬とは、多久市の山間の集落の町外れに鎮座される古社を訪ねたときに巡り合いました。
多久市の資料によると、現在42の神社が現存していることが確認されていたので、それらを全部制覇しようと暇を見つけては探し回っております。
この古社も、各所訪ね歩いてようやく探し当てた神社だったのですが、思いもかけず肥前狛犬と巡り合いとてもテンションが上がりましたw
この一対の肥前ちゃんたちは、苔が張り付く本殿の両脇でしっかりと正面を向き、そこに訪れる参拝者を監視するような形で御神体を守護していました。
拝殿から本殿までは何の障害もなく立ち入ることができるので、肥前ちゃんたちを撮影することは容易でしたが、彼らを動かすことなく撮影できる範囲のみで撮らせていただきました。
やっぱり心配なのは、心無い人たちが持ち去ったりしないだろうかということですよね。
神社名は伏せているのですが、42の神社の中から探し出すことはそう難しいことではないので、いずれ特定されてしまうかもしれませんが、願わくばそういう人の目に届かずにおいて欲しいものです
本殿。
賽銭箱が本殿の前に置かれているので、参拝者はここまでは制限なく入って来ることができるということです。
神殿に奉納されている狛犬は、頭をもたげ、前肢を立て、腰を下ろす、犬が「お座り」をした姿の均整のとれた像で、保存状態も良く、市内の肥前狛犬の中でも優れた狛犬の一つである。
多久市民俗歴史資料館発行の「多久の肥前狛犬」より抜粋
阿像は頭部に一角を持ち、一角から眉間にかけて小さな球状の突起が縦に三つ並ぶ。吽像は頭頂から眉間まで沈線を入れ、頭を二分している。たて髪は素毛で肩口まで垂れている。
内耳を外側に見せるように小さく立てている。目はともに杏仁形で目尻線は耳まで伸びている。鼻かぶらの太い鼻を持つ。阿像は正面を見据えているが、吽像は顔面が上を向いている。口は、阿像が歯牙列をなし、わずかに開いた状態で、吽像は口もとから面の中ほどまで下がった沈線で表し、とも朱を施している。阿像の胸部に楕円形の突起が施されている。
四肢は独立しているが、前肢と後肢の間は浅彫りで連結している。足先に五本の沈線を縦に刻み指を表している。前肢の付け根後方に球状の突起を縦に三つ並べ巻き毛としている。後肢の上方臀部に五条の弧線、足先に二本の縦線を刻み指としている。背面の中心に二本の沈線を縦に刻み背骨としている。尾は花弁状の渦巻を浮き彫りしている。
全体的に細部までむらなく調整し、丁寧な仕上げである。顔面や四肢の細工及び背面の造作など、厳木町広瀬の天山神社に奉納されている狛犬に類似点が認められ、十六世紀末から十七世紀初頭の頃に製作されたものであろう。
阿吽とも大きな鼻かぶらが特徴的で、阿形には頭頂部に角があり何となくあの昭和のヒーローのウルトラマンを彷彿とさせますw
四肢が彫り込まれてはいないものの、前肢については足先の部分はしっかりと彫られており、肥前狛犬の中でも後期に作成されたものではないかなと勝手に推測してますw
やはり建屋内に安置されている肥前ちゃんは、風化も進んでおらず苔も付いてないのでとても綺麗ですよね!
ぜひこのままの状態をずっと保っていっていただきたいものです。
それでは今日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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