肥前狛犬とは|肥前石工集団の職人が作り上げた芸術品ともいえる石造り狛犬

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雑学

肥前狛犬とは

肥前狛犬というのは、江戸時代の初めごろから江戸時代半ば(1600年代~1700年代半ば)までに制作された狛犬で、肥前石工集団の石工さんが造り上げたいわば芸術品ともいえる石造り狛犬です。

肥前という地名が付いていることからわかるように佐賀地域を中心に製作された狛犬で、細部の造りが簡略化された30センチから大きくても50センチほどの小型のものが主流で、彫り方に注力したというよりもいわばオブジェ的な造形を持つ狛犬です。

独自の造形を持つ肥前鳥居と同じように、この肥前狛犬も肥前国と呼ばれた佐賀県と長崎県、それと福岡県と熊本県の一部にしか分布していません。

福岡県と熊本県の一部にも肥前狛犬が居る理由は、江戸時代は人々の往来が厳しく制限されていたものの肥前石工の技術力が買われたことで、彼らは特別な計らいを受け出稼ぎが許可されたことにあります。

肥前鳥居もそうですが、この肥前狛犬といい佐賀県の石工さんの独創的な発想力と技術力は本当にすごいとしか言いようがありませんね。改めて佐賀の先人の職人さんに敬意を表したいと思います。

内砥川八幡神社(上宮)の境内に安置されている肥前狛犬たち

ただ、この肥前狛犬は愛らしくはあるものの、現在神社で見かける唐獅子みたいな狛犬にはちっとも見えませんよねw

その理由としては、”実際に狛犬を見たことがない地方の石工が伝聞や想像によって造ったから”というのがいちばんしっくりきます。

じつは狛犬は、宮中で生まれた神殿狛犬として平安時代にはすでに存在していたようです。しかしそれは貴族のものであって、一般庶民がそれらの狛犬を目にするということはなかったわけですよね。

石工さんの発想や、石工さん同士の人伝えで狛犬を造ったとしたとしたら、オブジェ的なものになるのはある意味当然なのかもしれませんね。

肥前狛犬の特徴は全体的に小振りで、彫りが浅くて目鼻立ちが目立たないものが多いようです。

装飾もあまり見られず、石の風合いを生かした直線と曲線の組み合わせで造られていて、初期のものはほとんど前足の間がくり抜かれていないのが多いようです。

肥前狛犬が見られる地域

肥前鳥居や肥前狛犬を造った石工として、常に次の3つの肥前石工集団の名前が上がります。

一つは、現在の小城市牛津町の砥川地区を拠点にした砥川石工が造ったとされるもの。もう一つは塩田町や嬉野町を拠点とした塩田石工。そして最後の一つは唐津・玄海を拠点とし、砥川石工の流れをくむ値賀石工です。

どの作品にも、それぞれの石工さんの個性が現れており、ユーモラスなものから宇宙人ぽいものまであるのがわかります。

織島神社の肥前狛犬

これまで、ほんのちょっとの神社しか参拝できていませんが、運がいいのかもしれませんがけっこう肥前狛犬さんとは巡り合えています。

名の通った神社にいらっしゃることもあれば、田んぼの真ん中にある小さな神社にいることもあり、どこにいらっしゃるのかどうやら定義はなさそうですw

これらのことからわかるように、肥前鳥居だけではなく肥前狛犬が見られる地域は佐賀県を主に九州北部の地域に限られているようです。

肥前狛犬がいる神社

ここまで肥前狛犬の魅力を書いてきましたので、そんな貴重な肥前狛犬を見てみたくなったと思われた方も多いかと思いますが、せっかく行かれるなら間違いなく見ることができる神社に行っていただきたいものです。

これまで参拝させていただいた神社で肥前狛犬と出会えることができたのは次の通りですので、どうぞ参考にしてください。(※順番はブログに掲載した順になっております)

須賀神社 小城市小城町松尾
内砥川八幡神社(上宮) 小城市牛津町上砥川
八龍社 佐賀市西与賀町厘外
伊勢神社 佐賀県佐賀市伊勢町
大天満神社 小城市芦刈町芦溝
八龍社 神埼郡吉野ヶ里町箱川
救世神社 鹿島市三河内下浅浦
鶴熊野権現社 多久市北多久町高木川内
高木八幡宮 佐賀市高木瀬東
堀江神社 佐賀市神野西2丁目
両子神社 多久市東多久町納所
八坂神社 佐賀市蓮池町蓮池
天満宮 小城市牛津町上砥川

上記以降のものや神社名を伏せた記事などは、右の「肥前狛犬」のタグをクリックいただけるとすべての「肥前狛犬」の記事が一覧できます。

ただ、ちょっとだけ心配なのはどんどん風化が進んでいることと、こうした珍しい部類に入る肥前狛犬は盗難にあうことも多いようで、ブログで安易に掲載するのもどうなのかという不安も付きまといます。

大型で動かせないものや固定されているもの、鍵付きで保管されているものなど以外は神社名を伏せるなどの対策が必要なのかもしれませんね。

今後参拝して出会えた肥前狛犬も順次掲載していきますので、お住いの近くの神社がございましたらぜひ佐賀の先人たちの技術の粋を直にご覧になってみてはいかがでしょうか。

それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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