こちらの熊野権現社は、JR唐津線多久駅の南西およそ6kmの距離、佐賀県多久市西多久町大字板屋平野地区に鎮座されます。
武雄市北方町との境に立つ標高443mの徳連岳の山腹にある平野公民館近くに位置し、山間部に広がる棚田の最上段の入口の柱が埋もれたような鳥居をくぐり、石段参道を上ると簡素な造りの切妻造りの拝殿、さらに石段を上った先に入母屋造り妻入りの本殿覆屋が建立されています。
資料によると、こちらには肥前狛犬一対が奉納されていたということなのですが、残念ながらこのときはどこか別の場所に保管されているのか出会えませんでした。御祭神は速玉之男命と思われますが、由緒沿革等については案内がなく不明です。
「町中の神社よりも山手にある神社の方が可能性があるんじゃない?知人が西多久町の熊野権現社にも肥前狛犬が居たって言ってたよ」
私が肥前狛犬に夢中なことを知り、知人が肥前狛犬の情報をくれました。私としては、偶然の出会いの方が感動も大きいので事前の情報はない方がいいのだけど、せっかくの心遣いなのでその「熊野権現社」を参拝させていただくことにしました。
そういえば、先般参拝した「鶴熊野権現社」にも肥前狛犬ちゃんがいましたね。ひょっとすると熊野権現にはけっこう肥前狛犬が奉納されているのかもしれませんね。
熊野権現社が鎮座される佐賀県多久市西多久町平野は、多久町の県道25号多久若木線の西多久分岐を直進し若木方面に向かい、農産物直売所「幡船の里(ばんせんのさと)」を過ぎて200メートル先から左に入り山間の道を走ることになります。
ところがこの道、平野地区までは約2キロメートルなのですが、この先に民家があるとは思えないほど道幅が狭いのです。
対向車が来たらどちらかがバックして道を譲らなくてはなりませんが、幸いにして対向車が来ることはなく平野地区の集落に来ることができましたw
集落の中を神社らしき建物を探していて行きついたのがこちら。
公民館と思われる建物に付随する御堂みたいな建物です。
建屋内に何やらお祀りしておられますが、目指す熊野権現社ではなさそうです。
ちょうどその時に、この建屋の横の民家から出てこられた住民の方に神社の場所を教えていただくとともに、いろんなお話を伺うことができてとてもラッキーでした。
地元の人は先ほどの建屋を「下ん神(したんかみ)さん」と呼んでいるそうで、熊野権現社のことは「上ん神(うえんかみ)さん」と呼んでいるとのことでした。
因みにこちらの平野地区では棚田米が造られていて、「平野棚田米」という銘柄で市場に出されているそうです。
それでは地元の方に教えていただいた神社の場所に向かうことにしましょう。
教えていただいた道をひたすら登っていると、集落の一番上の山肌に鳥居らしきものが見えてまいりました。
こちらが熊野権現社の鳥居です。
鳥居には「熊野社」の神額が掛かります。
落ち葉と苔に覆われた石段階段。
石段を登り終えたところにある簡素な造りの切妻造りの拝殿。
窮屈な石段の先には入母屋造り妻入りの本殿覆屋が建立されていました。
本殿覆屋の中の様子。
木像の本殿が祭祀されていますが肥前狛犬の姿を見ることはできません。
境内脇に祭祀された石祠群。
拝殿や本殿、境内内などをくまなく見てみましたが、残念ながら肥前狛犬を確認することができませんでした。
こちらに肥前狛犬が居たことは間違いないようなので、ひょっとしたら盗難から守るためにどこか別の場所に安置されているのかもしれません。
あとは、いつかこちらの熊野権現社の肥前狛犬と出会える日が来るかもしれないことを願うしかありません。
それでは今日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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