肥前狛犬 多久市 その6

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多久市の神社

こちらの肥前狛犬は多久市のとある場所に鎮座される、とある神社の本殿を守護しています。

山間の集落に立つ拝殿は、そう古い時代ではなくリノベーションされたものと思われる開放感のある瓦葺きの簡素なものですが、この地区の産土神としてしっかりと祀られてきたことが窺えます。

その拝殿の後ろには里山を背景に綺麗に積まれた石で本殿が築かれており、二つの石祠と天照皇大神宮が祀られています。

その石祠の一つ、一番左の石祠の前に一対の肥前狛犬が安置されていますが、残念なことに風化によって吽形の顔の部分が一部欠け落ちてしまっていました。

古さを感じさせない拝殿。上り口の石段のコンクリートも綺麗にクリーニングされているのか、それとも新しく塗られたのか分かりませんがとても綺麗です。

本殿。三段になった石段の奥に、石を三段に積んだ本殿が造られています。

いちばん右側は、延享二年(一七四五)建立の天照皇大神宮の石塔です。

向かって右側の石祠は寛文六年(一六六六)建立の「九郎大権現」の石祠、そして左側の石祠の前に肥前狛犬が奉納されています。

吽形の顔の部分と左前肢の一部が欠けてしまっておりますが、阿形の方は吽形と比べると比較的綺麗な状態を保っています。

正面からのカットは、パッと見て「ドラえもん」を彷彿とさせますw

阿吽ともに、鬣の文様が綺麗に施されています。

吽形は前肢だけではなく背中の方まで欠損しておりましたが、何があったのでしょうか。

 左端の石祠に一対の肥前狛犬が奉納されている。向かって右側に阿像、左側に吽像が向き合って置かれている。阿吽像とも損傷が著しく、阿像は胸部から後頭部の線で割れている。吽像は前肢の中ほどから背にかけて割れ、左半身の一部と顔部は剥落している。
 阿像は頭頂部中央の鎬状のたて髪の先端に小さい突起の角を造っている。たて髪は鎬状たて髪の両側に三束を短くまとめ、七本から成り、その外側に内耳が前を向いた耳がある。両耳から背の中央部にV字状に段を付け毛髪と背を区切っている。前頭部は角の左右に浮き彫りの線を帯状に造り、たて髪の生え際を表している。眉骨の下に丸い眼球を浮き彫りし、目の回りは彫り窪めている。眉骨から伸びた大きな鼻かぶらの鼻の鼻孔は丸く尖っている。両頬には鼻から斜め上に四本の沈線を刻み、沈線間が浮き彫りされ、髭または皺を表している。口は二本の横線を彫って開いた口から舌を見せている。前肢間および前肢と後肢は浅彫りで連結しているが、前肢の足先にくびれを施し指を刻み、指は台石に載っている。背は側面は丸みを帯び、後頭部中央の鎬状のたて髪から伸びた縦の浮彫りの背骨が尾とつながる。
 吽像は基本的に阿像と共通する像容であるが部分的に違いがみられる。後頭部のたて髪が二段になり、束ねた束数も十五束となっている。また前肢の足先は地着部まで伸び、台石に載った状態ではない。

多久市民俗歴史資料館発行の「多久の肥前狛犬」より抜粋

ここでも肥前狛犬ちゃんと巡り合うことができましたが、やっぱり屋外に安置されているため風化が進んでいます。

屋内ではなくとも、直接雨があたらないような屋根があるだけでも風化の度合いが違ってきます。こういう肥前ちゃんを見ると、もう少し何とかできないかなあとついつい思ってしまいます。

それでは今日も最後までご覧いただきありがとうございました。

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コメント

  1. 親ちゃん より:

    肥前狛犬のサイトを開いたとき貴記事のことを知り、この一連のことを知りまずは「肥前狛犬」ところをコピ-しました。多久市の肥前狛犬、どれもこれも可愛いものばかりですが、私が特に好きなものは、市内南多久町「妙覚寺」の境内地、所狭しと並んでいる石仏群の中にあった、小さくて本当に可愛かった一対の狛犬さん。それでもちゃんと石祠を守っていました。三年前のことになります。「さつま塔」を探している時偶然に目にしました。雑然とした形で置かれておりましたが、この時から肥前狛犬さんが大好きになりました。南島原市内にも「エ-ッ、こんな処に」といったことで、ほんの偶にですが眼にすることがあります。嬉しい限りです。   これからも記事を楽しみにしています。

    • TAKAHIRO より:

      コメントありがとうございます。「よく頑張ったね…」。屋外に安置された肥前狛犬と巡り合ったときにはいつもこう声をかけて頭を撫でてやります。ときには、その健気な姿に涙が出そうになることもありますw
      そうですか、「妙覚寺」さんの肥前ちゃんにお会いされたのですね。よかったですね。私が参拝させていただいたときには、太神宮石祠を守護しているという肥前狛犬が見当たりませんでした。聞くところによると、現在は盗難防止のために別の場所に保管されているとのことでした。ここに限ったことではありませんが、会えなかった肥前ちゃんは他にたくさんあります。盗難防止のためなので仕方がないことですが、悲しいことですね。

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