こちらの田嶋神社は波多津コミュニティセンターの南南東に1kmほど、県道32号伊万里畑川内厳木線と県道52号山本波多津線が交わる三岳山の南麓の集落、佐賀県伊万里市波多津町畑津地区に鎮座されます。
境内周りには玉垣が巡らされた石垣が組まれ、境内に面した入口に奉納された一の鳥居をくぐるとコンクリートの参道がまっすぐに伸びており、ひときわ目立つ楠の大木の横に「田嶋宮」の神額が掛かる寛延三年造立の二の鳥居が奉納されています。
境内の奥には入母屋造りの拝殿と切妻造の本殿覆屋が建立され、拝殿前には伊万里地区では珍しい砥川型で、それも数少ない恐竜型の岩乗り狛犬が奉納されています。
御祭神は多岐津姫命、市杵島姫命、田心姫命の宗像三女神ほか五柱が合わせ祀られます。覆屋の中に納められている三間社流見世棚造の本殿は、佐賀県内最古の木造建築ということで国の重要文化財に指定されています。
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社頭。右が唐津市へと向かう県道52号。
御神木の大楠がかなり存在感あります。
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道路際に立つ明治13年1月3日建立の一の台輪鳥居。
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鳥居には「田嶋社」の神額が掛かります。
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鳥居をくぐるとコンクリートで整えられた参道が真っ直ぐに続きます。
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手水舎。
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参道の途中に立つ二の鳥居。
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二の鳥居には「田嶋宮」の神額が掛かります。
右の柱には「寛延三年正月吉日」の刻銘が入ります。
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境内西側にある社務所。
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瓦葺き入母屋造りの拝殿。
そして砥川型の岩乗り狛犬さん。
恐竜型の岩狛で、阿形は前立の岩に前肢を掛けるオーソドックスな岩乗りですが、吽形は前立の岩に後肢を掛ける“かまえ”型で、この型の岩狛は小城市牛津町上砥川の「内砥川八幡神社(上宮) 」、小城市芦刈町三王崎三条の「沖神社」に次いで三度目です。
「明治十三年庚辰一月廿五日」「上戸川石工 永石義實」の刻銘が入ります。
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向拝下の「田嶋神社」の神額。
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田嶋神社の祭神は、多岐津姫命、市杵島姫命、田心姫命の宗像三女神のほか6神で、海上交通の守り神です。
室町時代のここ畑津は、入り江の奥にあたり、岸岳城主(唐津市北波多)の波多氏の津(港)であったと考えられます。そこで「波多津」と呼ばれ、「畑津」の字があてられました。その港の守り神に唐津市呼子加部島の田嶋神社の分霊を勧請したと思われます。建武元年(1336)に社殿が再建され、室町時代末期には、波多氏の祈願所だったといいます。
現存する本殿は、覆屋の中にあります。本殿は、杮葺きで、三間社流見世棚造という建築様式です。桁行三間(2.88m)、梁間三間(2.95m)です。正面桁や垂木より上と正面三間の弊軸付き板唐戸は、新しく補修されています。
身舎部と見世棚は繋虹梁でつないでいます。柱はすべて自然石の礎石上に立っています。妻飾りは豕叉首組です。内部は、板床、竿縁天井を張り、背面に高棚を設けています。
近世の神社建築に比べて飾りの少ない簡素なつくりですが、かつては、朱塗りの彩色社殿でした。
15世紀の建立で、県内では現存する最古の木造建築です。九州でも貴重な中世の建造物として国重要文化財に指定されています。
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拝殿の中の様子。奥に覆殿の格子戸が見えますが、その中に“杮葺き三間社流見世棚造”の国指定重要文化財の本殿が安置されています。
「三間社流れ造り」とは、神社建築の様式で最も一般的とされる流造のうち、正面の柱が4本で間口が3間あるものを言うそうです。
「杮葺き」とは板葺きの屋根のことで、「店棚造」は正面の階段の代りに供物などを置く板や棚をつけたものということでした。
幣殿と本殿覆屋。
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境内東側に並ぶ石灯篭群。
こちらでは珍しい岩狛さんを見ることができましたが、伊万里市でも砥川型の狛犬が奉納されているのにはちょっと意外な感じでした。
でも、よくよく考えてみれば、いまでこそ行政が分かれているものの昔は一つの国だったんですから、全く不思議なことじゃないんですよねw
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