佐賀市から国道207号線で長崎県の長与町方面に向かっていると、JR長崎本線の肥前竜王駅を過ぎたあたりの国道沿いの右手に鳥居が見えます。
佐賀方面からくるとおそらく見落としてしまいそうな鳥居ですが、じつは平安時代から豊玉彦、豊玉姫、埴安姫の神を祀られたという言い伝えのある海童神社の鳥居だったのです。
私も過去に数回この通りを通ったことがあるんですが、申し訳ないことに私の脳と目は海童神社をてっきり河童神社と思い込み「かっぱじんじゃ」と読んでしまっていたのですが、今日初めてその間違いに気が付きました。大変申し訳ないことで恐縮です。
さて、海上交通の守り神として古くから地元の人の信仰を集めている海童神社ですが、かつてこの辺りは有明海に突き出した岬の突端であったことから竜王崎と呼ばれていたそうです。
そうか、その名残がJR長崎本線の「肥前竜王」という駅名になってるんですね。
国道沿いにある専用駐車場に車を停めてから鳥居へ向かい、けっこうな勾配の石段を登り上がると境内のすぐ左手に、佐賀県の天然記念物に指定された樹齢600年以上といわれる立派な大楠が鎮座していました。
資料によると、根回り24.5m、樹高19mですが、根元あたりから何本も分かれているような形に圧倒され、その姿たるやまるで神話に出てくる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を彷彿とさせます。
南北に22.5mの枝張りが、まるで海童神社一帯を覆う様に枝葉が広がっているせいか、すぐ近くを行きかう車の喧騒とはかけ離れた静寂を保ってくれているようです。
境内の周囲に目をやると、いくつもの大きな切り株があるのに気が付きます。おそらく管理のために伐採されたものなんでしょうが、神社をしっかりと守るように植えられていたのでしょうね。
瓦葺き唐破風付き入母屋造りの拝殿の両横には、明治31年生まれの唐獅子型の狛犬が静かに鎮座しておりました。
参拝中は私たちだけで誰とも出会うことはありませんでしたが、私たちのほかにも海童神社とこの大楠の存在を知らない方がいらっしゃるはずでしょう。
普段は気にすることもない文化財ですが、訪れてみると意外と興味深く楽しめるものです。
よろしかったら皆さんも一度お出かけになりませんか。
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